日曜ミステリ トカゲの女3警視庁特殊犯罪バイク班 インプレッション [2Hドラマ]
あらすじを含めながら、感想をちょっと書いてみました。
出演者
井守響子…黒谷友香
多喜遼子…かたせ梨乃
津吹新太郎…永井大
矢島健太…渡部豪太
多喜純一…川村陽介
片桐七海…滝沢沙織
小杉 徹…金児憲史
内田さわ…西原亜希
日垣…浜田晃
井守英恵…大島蓉子
リポーター…山中秀樹
島岡吾郎…柴俊夫
内田建吾…螢雪次朗
三国赳夫…石丸謙二郎
郷田修平…大地康雄
冒頭のシーンは、ファミレスみたいなところで、JKを人質に取って売上げをかっさらい逃走する男が登場し、これが今回の事件かと思えば、そうではありませんでした。
しかし、非常に重要な映像が店の防犯カメラには残されており、最後の最後にどんでん返しの、意外な犯人が明かされることになります。
というわけで、冒頭のちょっとした籠城事件の犯人のおかげで、トカゲたちは、真相を突き止められる端緒を得たのであるから、「どいつもこいつもバカにしやがって!」とか叫びながら、JKを羽交い締めにし、フォークを突き付けて、金を出せとキレまくってた兄ちゃんは、見方をちょっと変えると功労者と言えなくもないですね。
あの事件が、なければ誰もファミレスの防犯カメラの録画映像など気にもとめなかったからです。
ただ、少しおかしいと思ったことは、犯人がJKを連れて外に出たそのタイミングで、ちょうど店前に乗用車が急停車するので、それが、まるで単独犯ではないかのように見えたのは確かです。
よく銀行強奪事件等では、現場で金を奪取してくるチームのほかに、必ず逃走用の車を運転するドライバーがいるのを見受けるので、そんな風にドライバーがもうひとりいて、店舗前に乗りつけたのかと思って見ていていました。
というのも、その乗用車の運転手を脅して、外に出させるくだり等の映像が一切ないからです。
その事件のあとで
デザイナーズ・ブランドであるリョーコ・タキの社長多喜遼子に非通知で不審な電話がかかってきます。
それは、以前にリョーコ・タキと下請け契約をしていた内田ドレスの内田建吾を誘拐したから身代金5億を用意しろという電話でした。
この時、常務である三国は何食わぬ顔で、どうしたんですか? とか聞くわけですが、フザケタ野郎ですよね?w
ここからいよいよ今回の事件が展開していくのですが、事件の根底に流れているのは、純一の、母遼子への不信感でした。
実は純一は、遼子の実の子ではなく、養子として迎え入れられ、多喜を名乗っていました。
純一は、児童保護施設に預けられていたのですが、いつ彼が本当の母親の名前を知ったのかは、本編では語られていないので、そこらへんは杳としてわからないのですが、そういった回想シーンも入れてもよかったですよね?
それで。
実の母の郁美は、遼子と一緒にブランドを立ち上げるという夢を共有していた親友であることを知ったらしいんですね。
こちらも本編では詳しく語られていないので、どの程度純一が郁美と遼子の間柄を知っていたのかは想像するほかありません。
そして、さらに。
母の遼子が有名になるきっかけとなったウェディングドレスのデザインは、実は遼子の作品ではなく、亡くなった純一の実の母郁美のデザインだったという事実を知った純一は、遼子に対して不信感を募らせていき、結果的に狂言である誘拐事件を計画するに至ります。
しかしながら、純一の不幸のはじまりは、愚かな錯誤にあったのですね。
真実は、遼子の口から語られます。
実のところ、受賞したウェディングドレスのデザイン画は、郁美自身が、遼子のサインをし、遼子の作品として応募したのでした。
純一は、郁美のサインのあるまったく同じデザイン画を発見して、遼子が郁美のデザインを盗作したと早合点してしまったわけですね。
このあたり、ふつうならば、これどういこと? と詰め寄るのが当たり前だと思うのですが、つまり、そのことがあったから、純一は遼子に対して不信を持ったのですから、その前は、ごく普通な母と子であったはずで、ならばごくふつうに、おかあさん、これどういうことやねんな? と訊きますよね?w
ただしかし、あまりにも衝撃が大きすぎて、遼子に問いただすことすらできなかったということなんでしょうか?
そうだとすると、純一もすごく苦しんだと思うのですが、回想の映像では、純一がそれを知ったのは、ごく最近みたいなように感じました。
リョーコ・タキの経営は、傾きかけているようでしたので、その点からも母の経営の手腕に不満があったから、純一は判断にバイアスをかけてしまい、盗作したんだと決めつけてしまったのでしょうか?
たしかに、聞き間違えとか、人間ですからいろいろ「行き違う」ことは往々にしてありますが。
その時の感情の状態や起伏によって、悪く捉えてしまったりと物事の印象や捉え方というのは、その時々によって変わってしまったりします。
遼子の母親としての愛は、感じられたのですが、どうも純一はちがうようでしたね。
ですので、あの人とか呼ぶようになってしまった時期がいつだったのかを、知りたかったりしました。
すべての不幸は、認識の齟齬、そこからはじまった。
純一は、実の母郁美が盗まれたものを取り返すべく、遼子に5億円を要求し、お世話になった児童保護施設と、下請け契約を打ち切ってしまった内田ドレスに、分配しようと考えていました。
そして。
純一は、元の下請け業者である内田ドレスの内田等数名を誘い、自作自演の誘拐事件を企てます。
だが、さらにもうひとりリョーコ・タキの常務である三国を仲間に誘い入れたことにより、計画は頓挫してしまいます。
三国というのは、とんだ食わせ物でした。
はなから5億円を独り占めしようと画策していたのですから。
→カスの中のカス確定w
こういったミステリ系のドラマですと、どうしたって死体のひとつふたつ、3つ4つ出てくるわけですが、ドラマ終わりに短くも笑える楽しいちょっとしたエピソードがインサートされるのは、やはりプロの仕事ですね。
陰惨な事件やらどろどろした人間関係を、浄化してくれる明るい小話は、実はとても重要なのだなとあらためて感心しました。
個人的なディテールでいうと
かたせ梨乃さんのおみ足が、綺麗であったこと!
あの細さを保つのは、容易な事ではないと思うのですが、さすがは女優さん、身体を張ってますねw
聞くところによると、マドンナと同じくらいのご年齢ですね、たしか。
ほんとうにすごいです。
あとは、郷田巡査部長。
大地康雄さんですが、燻し銀の演技ですね。
褒めすぎかもしれませんが、大地康雄さんがいないと成立しないようにもぼくには思えました。
やはり、若い人には出せない味ですね。どっしりとしています。
以上
トカゲの女3 警視庁特殊犯罪バイク班
たいへん、美味しゅうございました。
追記
ブランド草創期に、大変にお世話になった、というか、内田建吾という人物がいなければ、そもそもリョーコ・タキは存在しなかったかもしれないというほどの恩義ある内田ドレス。
リョーコ・タキと内田ドレスは長年ビジネスパートナーとして、共に歩んできたわけですが、アジアの縫製工場に任せれば外注費が10分の1で済んでしまう為、遼子は内田ドレスを切ることを決断します。
それは、たしかにより良いものをなるべくリーズナブルな価格でユーザーに届ける事が経営者として、第一義なことであるわけで、経営者判断としては的確であるとは思います。
ただ、世の中には、お金持ちの人もいくらでもいるわけで、そういう人たちは、価格など気にしないわけですね。
そういう人たちは、クオリティやオリジナリティを求めているわけで、いいものであると判断したならば、価格は度外視して買う。
リョーコ・タキが価格帯を下げ、ユーザーのすそ野を広げて、若い購買者の販促へと販売戦略を移行させていく、そういう狙いがあっての、内田ドレスとの契約満了というならば、話がちょっとおかしい事になってしまいます。
つまり、そうであるならば、今現在リョーコ・タキは、アジアのどこかの国の小さな縫製工場に外注してるわけです。
しかし、純一が平和銀行の融資係だかにプレゼンしていたのは、海外で縫製させて、リョーコ・タキのドレスを20,000円の価格帯で出す、というものでした。
その場にやって来た遼子は、安売りなんてとんでもない! みたいな感じで純一を一喝してしまいます。
そのあたりが、お話として齟齬が生じているようにも思えます。
遼子は、内田ドレスを切って、いったいどこに縫製を発注しているのか?
あるいは、純一は、さらに安い激安な外注先を新たに見つけ出したということなのでしょうか?
謎は深まるばかりなのです。笑
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