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ヤングシナリオ大賞 ドラマ「リフレイン」感想 [ドラマ]

ヤングシナリオ大賞 ドラマ「リフレイン」

なんか世にも奇妙な物語を観ているようなお話でした。
死の一歩手前の世界ということでしたが、綾織、或いはミナトは死んでいるのか、いないのか、そんなことを考えること自体、馬鹿らしいと思えるような超越した物語でした。

つまり、現実の世界と私たちが思っている世界は、無限にあるということです。ただ、その世界を現実であると認識できるのは、その世界のみに生きているように思っている自分だけであり、実際には並行世界が無限に広がっているはずなのです。

そんなことを考えさせられましたが、時間と空間を超越した世界でありながら、綾織ツムギは、その自己の「死の手前の世界」で、エイジングの法則に従って成長、言い換えると年老いていっているわけなのですが、それはちょっとどうなのかなと思いました。

あるとするならば、綾織自身がそれを望んでいると考えると辻褄が合うのかもしれませんが、そういう事ではなく、すべてはミナトの認識の世界の物語なのでした。

事の顛末は、12月24日のお昼12時過ぎに起きた事故から、ミナトが病室で目を覚ました12月25日の午前9時半くらいまでの21時間ほどの間に起こったことであるわけです。

冒頭で、赤いコートを着た女の子が、浮浪者と思えるような男の前に佇んでいるカットがインサートされていますが、それは、綾織とミナトの間に生まれてきた子だったわけで、彼女は、綾織の世界とミナトの世界を自由に往き来できる存在であるらしく、年老いたミナトの願いを叶えてくれます。

それは、あの事故で自分が綾織に助けられて一命を取り留めたのではなく、自分こそが先にトラックの暴走に気づいて綾織を救ってあげたかったと常に強く考えていたのでしょうから、それを女の子に頼むわけですね。逆にしてくれと。

実際に言葉にして伝えたわけではないのですが、次元を超越するような女の子ですから、父であるミナトの心の叫びは痛いほどわかるわけですね。ミナトは、そう考えることにより、綾織との再会への手順を踏むわけです。

それで、あの日に戻って、女の子がトラックの暴走をミナトに知らせることによって、あの時とは逆にミナトが綾織の命を救ってあげることができると、設定するわけです。

これは、18254回目のクリスマスイブに、つまり50年後の12月24日の夜に、待ちに待った自分と綾織との子である女の子がやってくることで可能となったわけです。

つまり50年後に、やっとミナトと綾織は再会を許されるわけで、あの50年前の12月25日のクリスマスに再会を果たすのですが、つまりミナトは、自分の作り出したリフレインの世界、12月24日を永遠に繰り返す無限ループから抜け出せたわけですね。

クリスマスイブの無限ループをミナト自身が作り出したということはどういう事なのかというと、ミナトの中であの12月24日は、絶対にありえないという想いがそうさせているわけです。

間違いを訂正できないので、繰り返し繰り返しリフレインしてしまっているのですが、自分たちの子どもが生まれたことによって、その邂逅を果たすという段取りを考えることで、自分が綾織と再会できることを許すわけですね。

つまりは、すべてはミナトの認識の世界での話に過ぎないんです。自分の中で、やはりそう簡単には綾織と再会できないだろうという、認識を持ってしまっているので、その通りに物事は進んでいくわけです。

そこでミナトは、自分が亡くなってしまった綾織の世界に紛れ込んでしまうという事を考え出すわけです。それも死後の世界ではなく、綾織が死を認知する一歩手前の世界に、です。

さらには、あの時のままの綾織本人とは、まだ再会は果たさせないように、その世界はエイジングのある世界にしてあり、綾織の数年後の姿にさせて、綾織であることを隠しておいています。

そして、さらにその大人になった綾織と自分がHして、子どもが生まれることになるとして、その子が次元を超越するような不思議な力を有する子であると、設定するわけです。

そう設定することによって、50年後に自分の娘が自分を救い出すというストーリーを自分に許すわけです。そして、愛娘があの事故の直前に自分に知らせてくれ、そのことで自分が助かるのではなく、綾織が助かる世界を作り出すという手順を踏むことによって、その世界を自分に許すわけです。

実際に、あの事故と真逆になったならば、綾織が助かったとしても、自分は死んでしまうわけですので、再会など叶うはずもないのですが、しっかりとエンディングには微笑む綾織と再び会えるのですから、どこまでいっても、認識の世界であることがわかります。


その50年後というのも、あの浮浪者然としたぼろぼろのミナトの姿も、自分が作り出しているわけですね、このくらいでいいだろう、という感じです。

そうすることによって、無限ループから抜け出してきたミナトは、綾織と再会を果たすわけなのですが、綾織との約束は12月24日であり、12月25日のクリスマス当日ではありませんから、これもミナトが作り出したものであることがわかります。

つまり、あの事故は厳然として現前したわけであり、いかんとし難い事実らしいのですが、それを絶対に受け入れることはできないミナトは、自分の中でそういう綾織のいる世界を作り出したわけです。

ですが、なんだじゃあ現実じゃあねーのかよとなりますが、そうでもなく、綾織のいる世界も確かに存在しているわけですね。

ミナトは、ほんとうに綾織を愛していたのでしょうね。

素敵な物語でした。


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